NOTES — 研究ノート
暑さと寒さTEMPERATURE
夏の葉焼けSUMMER LEAF SCORCH
葉焼けは、光の強さそのものよりも、条件の重なりで起きます。 水が切れて根が吸水できていない株は、蒸散で葉の温度を下げる余裕がなく、猛暑日に強い日差しを受けると葉の組織が熱で傷みます。 国内の栽培者・販売者の案内でも、夏場や西日の強い日差しは葉焼けを起こすとされ、反対に、屋外の光に慣らした株は直射日光でも焼けにくいとされます。 室内で越冬させた株を急に真夏の直射日光へ出すような環境の急変も、焼けの引き金です。
葉が濡れたまま直射日光を受けることも、避けたい条件です。 「水滴がレンズになって葉を焼く」という言い方には議論があり、滑らかな葉では実験で否定されています。 ただし、水滴が毛に支えられて葉面から浮いた位置に留まる葉では、光が集まって焼けることがあると実験で示されています(Ádám Egri 氏ら、2010年)。 ディッキアの葉はトリコーム(鱗状毛)に覆われ、水滴がその上に留まりやすい形です。 さらに、水やりや強い雨はトリコーム自体を剥がし、光を反射する層を弱らせます。当方でも大雨でトリコームが剥がれかけた記録があります(ディッキアの栽培)。 水は葉ではなく株元へ、という国内の販売者の案内は、この意味でも理にかなっています。
冬の寒さWINTER COLD
属全体では、ブロメリアの中でも耐寒性が高い部類で、乾いた状態で短時間なら氷点下に耐える種もあります。 ただし種差が大きく、Dyckia marnier-lapostollei のように凍結近くを苦手とする種も同じ属にいます。「属全体が耐寒だから全種が屋外で越冬できる」は誤りです。
最も避けたいのは「根が濡れたまま凍る」状態です。目安は、5℃を下回る日が続いたら室内などに移動させて乾かすことです。この数字は、霜よけも前提にした安全側の目安として理解するのがよいと考えています。
調査:2026年10月
